現代のマザーテレサ ロビン・リム氏 初来日イベント「International Conference on Respectful Childbirth Care」に参加 第2部パネルディスカッションの記録

前回に続き、2018年9月4日に開かれた、International Conference on Respectful Childbirth Careの記録です。今回は、第2部のパネルディスカッションの様子をご報告します。

パネルディスカッション

パネルディスカッションは、「WHO新ガイドライン『肯定的な出産体験のための分娩期ケア』を実現するために」です。

登壇者は、以下の通りです。

森臨太郎氏(新生児科医、コクラン日本支部代表、国立成育医療センター研究所・政策科学研究部長)
ロビン・リム氏(ブミ・セハット国際助産院・院長)
ダヴァツェレヘン・ムンヘツェツェゲ氏(モンゴル国立医学大学・産婦人科学科長)
チュナガスレン・バダマハンダ氏(アムガラン産科病院・助産師長)
グェン・タァオ・クェン氏(ホーチミン市医科薬科大学・助産学講師)

高橋優子氏

まず、JICA人間開発部の高橋優子氏から、WHO新ガイドラインの概要説明がありました。その背景には、ミレニアム開発目標から持続可能な開発目標(SDGs)になったこと、出産の医療化の二つがあるそうです。

森臨太郎氏

次に、森臨太郎氏。ガイドライン委員の雰囲気や、新ガイドラインの特徴などの説明がありました。いままでは質的研究のレビュー中心だったが、質的研究の系統的レビューを入れたので、コミュニケーションを重視する内容が入ってきたことなどのお話がありました。出産の個別性を尊重することや不要な診療行為をしないことなどは、本質的な技量が必要になり、トレーニングが重要になってくるという森氏のお言葉に、会場はうんうんと頷いている方が多くいらっしゃいました。

森臨太郎先生の本を買っていたので、サインしてもらって一緒に写真を撮ってもらおうと思っていたのに、当日持参するのを忘れてショック! 次回、機会があったら忘れずに持参しようと思います。

ダヴァツェレヘン・ムンヘツェツェゲ氏とチュナガスレン・バダマハンダ氏

続いて、モンゴルの現状について、ダヴァツェレヘン・ムンヘツェツェゲ氏とチュナガスレン・バダマハンダ氏。箇条書きにしてまとめます。
・モンゴルは、ミレニアム開発目標を達成した数少ない国の一つ
・2017年の人口は317万人、男49.2%:女50.8%で、15歳以下の人口が30.5%と若い国
・1年間に7〜8万人の出生
・10万人に対し26.9人の母子死亡
・出産・分娩・産後すぐの死亡率が高い
・これまでは出産は医療的なケアが中心だった
・ウランバートルのアムガラン産科病院では帝王切開は23〜24%

モンゴルでは年2回、日本でいう厚生労働省にあたる組織が、全国的な調査をしているそうです。これはすごいですね。

グェン・タァオ・クェン氏

グェン・タァオ・クェン氏からは、ベトナムの医療制度の紹介と、ベトナムにおける新WHOガイドラインに照らし、できていないこと、課題、改善のためになどのお話がありました。

Q&Aから

質疑応答から心に残ったことをメモします。
・現状が変わらなくても、諦めないこと、続けること、自分のできることを実践すること。種を植えるということはできる。
・WHO事務所が途上国はあり、各国に公的に伝わっていく。しかし日本を始めとする先進国は、WHO事務所がなく、公的に伝わっていくシステムがない。

会場の筑波大学東京キャンパス

会場の筑波大学 東京キャンパス

感想

新ガイドラインの日本語訳が配られるということを聞いたのも、このイベントに参加した理由の一つでした。

暫定訳を見ると、このガイドラインに沿った分娩期ケアが行われれば、出産で辛い思いをする女性が格段に減って、赤ちゃんもストレスがなく生まれてくることができる環境です。

暫定訳なためインターネット掲載不可ということですが、出版も予定されているそうなので、楽しみに待ちたいと思います。

関連サイト
筑波大学
一般社団法人EARTH COMPANY
ドゥーラシップジャパン

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投稿者プロフィール

赤星由美子
赤星由美子
株式会社ソシエタス代表取締役。調理師/食品衛生責任者/出産ドゥーラ・産後ドゥーラ/発酵プロフェッショナル。さまざまな情報を発信していきます。