沖田 ×華『透明なゆりかご 産婦人科医院看護師見習い日記』命について考えさせられる漫画 2巻はドゥーラ登場【本の紹介】

沖田 ×華『透明なゆりかご 産婦人科医院看護師見習い日記』講談社を読みました。

産婦人科を舞台にさまざまな物語が

舞台は1997年、ごく普通の産婦人科医院。高校3年生の沖田 ×華が、準看護学校に通いながら、産婦人科医院でアルバイトをしながら、さまざまな命に出会うという物語です。

第1話「命のかけら」は、人工妊娠中絶と出産の場面。消える命と生まれる命についてのエピソードです。

現在発売している5巻まで一気に読みました。

人工妊娠中絶、新生児虐待、性的虐待、置き去り、一人きりでの出産、死亡事故などなど、重いテーマが多くあります。

私は、とても涙もろいのですが、この作品は涙なくして読みませんでした。泣きっぱなしです。

しかし、このような重いテーマを扱っているわりに、気持ちがどーんと沈まずに読めます。淡々と書かれているからなのか、絵のタッチなのか。現代の物語ではなく、20年ほど前が舞台だということもあるかもしれません。

一つ不思議に思うことは、産婦人科医院に助産師さんが出てこないこと。この産婦人科医院がたまたま助産師さんがいなかったのか、当時は一般的だったのか、いまもそうなのか、書かれていないだけなのか。どうなのでしょうか。

ドゥーラが出てくる

『透明なゆりかご』2巻P49から、ドゥーラが出てきます。

カナダから来た出産ドゥーラのケリーさん。物語は、稽留流産(自覚症状はないが胎児がお腹の中で死亡している)とのからみで進行していきます。

ドゥーラのケリーさんは、私の出産ドゥーラのイメージにぴったり。明るくて、前向きで、命のはかなさもわかっていて、悲しみもまるごと受け止めてくれる、そんな人です。

流産という日本語の意味も、カナダ人のケリーさんから再発見させてもらいました。

命について考える

『透明なゆりかご』は、妊娠・出産にまつわる出来事や、命について、私は考えさせらました。

消えていく命もあるのが自然の摂理です。とはいえ、辛い。

いまの私にできることは、関わる妊婦さん、産後女性、赤ちゃん、家族を、自分のできることで精一杯サポートしていくことだと、改めて感じたし、決意を新たにしました。

テーマがテーマなので、誰にでも勧められる本ではありませんが、育児支援者は読んでおいてもいいのではないかと感じました。

透明なゆりかご 1-5巻セット

透明なゆりかご~産婦人科医院看護師見習い日記~(2) (Kissコミックス)

投稿者プロフィール

赤星由美子
赤星由美子
株式会社ソシエタス代表取締役。調理師/食品衛生責任者/出産ドゥーラ・産後ドゥーラ/発酵プロフェッショナル。さまざまな情報を発信していきます。